参加者発言要旨
<提言項目3:教育の新生と男女協同参画社会づくり>
6 私は現在、大学生の就職指導というところで教育コンサルタントをしています。この仕事を始めた当初は、大学3年時の就職活動支援、ですから、面接の指導ですとか、履歴書をどう書いたらいいのかとか、そういうような指導をしてきました。自分自身が社会に入ってガツンとやられた経験をもとに、学生さんと同じ立場に立っていろいろな職業指導、支援みたいなことをしてきました。5年ほど前というのは、出口関係のノウハウやスキルを教えてあげただけ、例えば敬語の指導とか、そういったことをしただけで、十分に就職活動ができるような力を持っていたのですけれども、最近は、企業の採用基準も年々厳しくなりまして、また、学生の職業に対する意識も低下してきて、大変なミスマッチを起こし始めています。なので、出口だけの就職課だけの支援では十分ではなくなりましたので、大学入学時からの、低学年時からのキャリア教育というものを提案し実践してきました。
このプログラムの内容は自分自身を大切にするということはどういうことなのか、教えてもらえるのではなくて考える。それで、自分自身が大切なように、ほかの人も自分のことを大切に思って生きている。そして、みんなが社会で集まってかかわって生きているんだというようなことを、大学生の1、2年生の間にディスカッションなんかを多く取り入れて、みんなに考えてもらうというような授業をつくって、大学内に正規の授業の中に今後取り入れこまれていく方向性で、今、お仕事をいただいています。それで、スタート時感じたことは、キャリアガイダンスを担当していますが、学生さんたちの自分自身の自信のなさ、セルフエスティームの低さ、そして、友達同士でも本音が言えない希薄な人間関係、そして、社会性の乏しさです。ですけれども、回を重ねていくごとに、人とコミュニケーションをとるということは、こんなに自分が豊かになっていくことなんだというようなことにどんどん気づかされていくようで、学生の目の輝きが少しずつ変わっていくのがわかりました。
私が学生さんに伝えたいことは、社会は自分たちの力で変えていけるということ。そのためには自分自身を大切にして、同じように周りも大切にし、安全で暮らしやすい社会を望み描くこと、そして、自分が何から始めようかと考えていくことが大切ではないかということを、教わるのではなく、本当に実感していただくということを大切に、ここ数年活動を続けてきています。
私、大学の就職支援のところで、いろいろ持っている課題ですとか、そういったことを高校の先生方や中学校の先生方、またはPTAのお母さん方とか、そういった方に今の現状や問題や課題点などをお伝えして、そして一緒に考えていくネットワークを作りたいと思っています。高校でも総合学習などが豊富にされているとは思いますが、こういった縦のつながりの中でいろいろ課題を持っていただきたいなというふうに思っています。
知事発言要旨
-6番~8番の発言者の発言後に、知事が次のとおり発言-
先ほどご紹介いただいたのは大学におけるキャリア教育ということで、就職意識だとか、就職のお世話も含めてやっておられるということでした。われわれが今力を入れているのは、高卒で就職される方もまだたくさんいらっしゃるんですが、そういう方に就職意識をどう持っていただいたらいいのか、先ほどお話がありましたとおり、ミスマッチがいろいろありますでしょう。そういうものを、高校生のうちに、自分の性格や生き方について職業との関係で学んでいただこうということで、今、インターンシップということで、かなりの学校で実際工場や企業へ行ってもらって、そこで先輩たち、大人たちが働いている姿を見てもらったり、そこでいろいろとコミュニケーションを図って、いろいろなことを学んでもらおうということをやっていまして、これはものすごく効果がございます。17、18歳の方がこれから社会へ出る上で、就職に対する不安だとか、新しい職場に対するさまざまな思いがあるでしょうけども、それを高校生のうちに経験、体験してもらおうと。このインターンシップに今一生懸命取り組んでおりますし、これからももっと拡大充実していきたいと思っています。
今、われわれがそういう取り組みをしていることと、先ほどご説明いただいたことと共通する問題だろうと思います。当然、大学でも、ただ教養科目だ、専門科目だと教えるだけではなくて、社会へ出た後のいろんな問題を、学生の中で学んだり経験したりするということは必要なことです。大学でもどんどん広がってほしいと思いますし、われわれは高校レベルで今一生懸命やっています。特に、大学へ進学するよりも、就職を目指しておられる専門学校とか、特に就職希望の方々を中心にそんなことを今一生懸命取り組んでいるところであります。
今、ご提言いただいたようなことは、大学の関係者とも、私ども年に何回か懇談会をすることがございます。例えば、国立、公立、私立を問わず県内全部の学校の学長さんが集まる機会がありまして、学長さんと私どもや名古屋市長と年に1回ぐらいは懇談会をやったり、あるいはそれ以外でも学校関係者と会う機会がしばしばありますので、今日そんな話題があったことを、何かの機会に一度出してみたいと思いますが、引き続き、職業意識だとか社会人としての心構えみたいなものを大いにご指導いただければありがたいと思います。
参加者発言要旨
意見交換
2 また、教育の方に話が行くのですけれども、私、毎年、何千人という学生さんに会いますけれども、選挙に行きますかということで、社会性を調べるようなところで手を挙げてもらうと、ぱらぱらっとしか手が挙がらないんですね。500人ぐらいの会場で。私は今回の機会に神田知事にお伺いしたいのは、選挙の前には、こんな政策をしますというお話がテレビの放送では流れますけれども、神田知事は一人の人間として、どうして政治家を志されたのかということを、一度ご本人の口から聞きたいなという風に思います。もし、私にそれが感じるところがあったら、本当にすばらしかったということを学生の皆さんにも伝えたいなと思っています。
知事発言要旨
お話のとおり、投票率がどんどん減っているんですね。若い方が特に投票所へ行っていただけないということをわれわれも大変心配しております。投票時間が何年か前に6時から8時までに延びました。それでかろうじて持ちこたえているところがありますが、それにしても毎回低くなっており、残念なことだと思います。
それから、私に対するお尋ねですが、今から15年前までは弁護士をやっていました。まさか自分が政治や行政の道へ進むなどとは思ってもなかったんですけども、最初は市長選挙でした。前の市長さんが高齢でお亡くなりになったんです。何期かやっておられ、亡くなられたのは80歳過ぎていたでしょうか。今も同じような傾向がありますけど、長いこと続いていたり、ちょっと年を取っていますと、若返りが必要だとか、行政や政治にあんまり関係ないほうがいいじゃないかとかいうことで、どういうわけか白羽の矢が立ったのです。始めは躊躇していましたけど、多くの方に応援をしていただけるということで出ました。15年前で結構大変な選挙でした。大変な選挙というのは、市を二分するような激しい選挙でした。それで、3期・10年間市長をやっていまして、今度、知事選挙ということで、これも前の知事さんが4年半前にやめるということになりまして、皆さん方、ご記憶があるかわかりませんが、後継者といいますか、候補者、いろんな人の名前が上がったのです。ところが、なかなか決まらない中で、これも政党の方や、いろいろなグループの方から、尾張部の外れの方にちょっと若いのがいるぞということで声がかかりまして、ご縁があってこれも出ることになりました。
そういう話でおわかりのとおり、自分から政治を志して、最初から選挙戦の準備をしたということは一度もないんです。それがいいか悪いかの問題ではなくて、私の政治というか、行政の歴史はそういうことでスタートしております。ただ、市長も知事も、どちらも大変やりがいのある仕事です。私は、十数年弁護士をやっておりまして、恐らく一生この仕事で行くだろうとかたく信じておりましたけれども、この世界へ入って全く後悔はありませんし、もし、いずれ行政をやめるときは、もう弁護士に戻らないのではないかなと、自分でそんなふうに今予感しております。
弁護士と行政、あるいは政治とどこが違うかというと、どちらも法律が中心になっているんですけど、わかりやすく言うと、弁護士というのは、例えば不動産の争いでも、離婚でも、不法行為でも何でもですけど、刑事事件ももちろんですが、起きてしまった後どうするかということですね。事件が起きて、後、訴訟だとかいろいろ、起きた後の後始末的な面が多いです。ところが、行政というのは、道路をつくるのも、福祉を行うのも、こうあるべきだという先へ先へと手を打っていく仕事なんです。だから、やりがいがあるといえばやりがいがあります。ただ、もっとも今弁護士の世界も、予防法学といいまして、紛争が起きないためにどうしたらいいか。例えば法務相談だとか、契約書をつくることだとか、そういう点に仕事の重要点の重点が大分移っております。お医者さんもそうですよね。何か病気になって手術をしたりということではなくて、健康づくりの話が今日ありましたけれども、予防医学といって、病気のならないためのドクターの役割というのが大変重要な時代になってきました。しかし、いずれにしても、そのくらい行政とわれわれの前の仕事との差がありますけれども、政治や行政の方がはるかにやりがいがあるというのは、今申し上げたようなことであります。あまり質問に対する答えになってなかったかわかりませんが、お許しください。
備考
投票率は、この10数年の間、長期低落の傾向を続けており、その理由として生活が豊かになったことなどに伴い、政治や選挙に対する関心が低くなってきたことなどが言われております。
このような状況に対して、制度的な対策として、いわゆる投票環境向上のための公選法改正が平成9年に行なわれました。その中で投票時間につきましてもそれまでの午後6時から2時間延長され現行の午後8時までとなったところであります。
これらの改正は、投票率の上昇にある程度の効果があったと考えられますが、平成13年参議院通常選挙や今年の知事選挙、県議会議員選挙および衆議院総選挙では投票率が前回数値に及ばなかったことから、投票率の長期低落傾向に歯止めがかかったとは言えない状況にあります。
また、世代別の投票率では、20歳代が最も低く、70歳ぐらいまで年齢とともに高くなる傾向にあります。
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