書籍・論文・記事 キャリア教育に関する実績

書籍

星野欣生監修 牧野英克編
ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・小塩真司・戸上昭司著
いのちのキャリア教育(セルフエスティームを高める自己形成プログラム)
(ナカニシヤ出版2016年3月1日)


ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文
「中部大学キャリア教育科目『自己開拓』実習集」(2012年)

いのちのキャリア教育

論文

ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・小塩真司
「新たなキャリア教育科目の効果(1)ー「自己開拓」の概要と学生の成長」
『中部大学教育研究』第11巻(2011年)

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小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文
「新たなキャリア教育科目の効果(2)ー「自己開拓」による学生の心理的変化」
『中部大学教育研究』第11巻(2011年)

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小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文・後藤俊夫
「キャリア教育科目『自己開拓』の効果 ー 2011年度の授業について」
『中部大学教育研究』第12巻(2012年)

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佐藤友美・小塩真司・ハラデレック裕子・林芳孝・間宮基文
「キャリア教育科目『自己開拓』の効果 ー 2012年度の授業について」
『中部大学教育研究』第13巻(2013年)

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小冊子

中部大学キャリア教育科目「自己開拓」有志メンバーによるプロジェクトチーム
「いっしょ懸命プロジェクト」(2012年)

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新聞・広報誌等で取材を受けた記事

特集 キャリア教育"教育の現場から見えてくるもの
2002年09月 愛知淑徳大学 アセント18号

愛知淑徳大学では2001年度より2年生を対象にした低学年次キャリアプログラムを開始している。このプログラムは、近年学生の就職に対する意識低下が顕著なことから、低学年次からのキャリア教育が不可欠との判断でスタートしたもの。今号では、実際にキャリア教育プログラムの企画から運営・講師まで手掛けていただいているクリスタルクリエイトの方々から話を伺った。

「主体的に自分の人生を構築するために」

このキャリア教育の特徴として一般企業などに用いられるマネジメントサイクルPDC(Plan Do Check)の考え方を取り入れていることがあげられる。PDCとは、目標を設定し、実行し、その達成状況に応じて軌道修正を行い、また新しい目標を立てていくものである。自らの力で目標設定から軌道修正を行うことで、学生が主体的に身に付けていくことができるのだ。企業と学生とのミスマッチの大きな原因のひとつとして、学生の主体性の欠如がしばしばあげられるが、これは中学高校の受験教育によって、自ら学ぶのではなく、教えてもらうという受身の姿勢が身に付いてしまっているためである。このプログラムではこうした姿勢を脱却し、自分の就職や生き方に対する主体的な関わりを考えさせるのである。就職という「点」ではなく、人生という長いライフスパンの中で自分の生き方を、自らどう構築していくか、その力が大切なのではないだろうか。

「変わっていく学生から必要性を再認識」

「世の中の動き」という講義のなかでは、単に社会動向を講義形式で教えるのではなく、自分の興味があるトピックを選んでもらって、それが自分とどうかかわってくるのかをグループでディスカッションをする。ちょうどアメリカのテロがあったときで、その話題に対して詳しい人もいれば、そうでない人もいる。そうでない人は自分に知識が足りないことを認識することが重要で、そこからスタートなのだ。
このような経験を重ねることで、確実に学生に変化が現れてくる。最初は自己紹介すらできない学生たちが、リーダーシップを発揮するなど、それぞれ自身の役割を把握して個性を出すようになってきたのだ。学生たちは単に漫然と受身の講義を聞いているのではなく、他人の意見を聞いたり、自分の意見を発表することに面白さを感じてくるようだ。低学年次にこうした経験を積んだ学生たちが、以降の人生を切り開いていってくれるのだろう。

「社会との関わりを理解することからはじまる」

このプログラムにおいて学生にとって重要なことは、知識をつけることではなくて様々な物事に対して興味を持つことである。興味を持つためには、ある物事に対して自分とどう関わっているかを考え、その接点を見つける。一見すると全く自身と関わりがないように思える物事でも、深く見ていくことで関わりが見えてくるものである。その接点が驚きとなり、発見となって、興味を持つことに繋がっていくはずなのだ。様々なことに興味を持ち、社会との関わりを理解することは、自分で判断をして自分で決めて行動していくことのきっかけになるだろう。

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ランダムショット[第111回] キャリアセンターハラデレック裕子さん
2002年11月20日 中部大学通信 ウプト(wpwt)2002年144号

愛知淑徳大学では2001年度より2年生を対象にした低学年次キャリアプログラムを開始している。このプログラムは、近年学生の就職に対する意識低下が顕著なことから、低学年次からのキャリア教育が不可欠との判断でスタートしたもの。今号では、実際にキャリア教育プログラムの企画から運営・講師まで手掛けていただいているクリスタルクリエイトの方々から話を伺った。

「主体的に自分の人生を構築するために」

このキャリア教育の特徴として一般企業などに用いられるマネジメントサイクルPDC(Plan Do Check)の考え方を取り入れていることがあげられる。PDCとは、目標を設定し、実行し、その達成状況に応じて軌道修正を行い、また新しい目標を立てていくものである。自らの力で目標設定から軌道修正を行うことで、学生が主体的に身に付けていくことができるのだ。企業と学生とのミスマッチの大きな原因のひとつとして、学生の主体性の欠如がしばしばあげられるが、これは中学高校の受験教育によって、自ら学ぶのではなく、教えてもらうという受身の姿勢が身に付いてしまっているためである。このプログラムではこうした姿勢を脱却し、自分の就職や生き方に対する主体的な関わりを考えさせるのである。就職という「点」ではなく、人生という長いライフスパンの中で自分の生き方を、自らどう構築していくか、その力が大切なのではないだろうか。

「変わっていく学生から必要性を再認識」

「世の中の動き」という講義のなかでは、単に社会動向を講義形式で教えるのではなく、自分の興味があるトピックを選んでもらって、それが自分とどうかかわってくるのかをグループでディスカッションをする。ちょうどアメリカのテロがあったときで、その話題に対して詳しい人もいれば、そうでない人もいる。そうでない人は自分に知識が足りないことを認識することが重要で、そこからスタートなのだ。
このような経験を重ねることで、確実に学生に変化が現れてくる。最初は自己紹介すらできない学生たちが、リーダーシップを発揮するなど、それぞれ自身の役割を把握して個性を出すようになってきたのだ。学生たちは単に漫然と受身の講義を聞いているのではなく、他人の意見を聞いたり、自分の意見を発表することに面白さを感じてくるようだ。低学年次にこうした経験を積んだ学生たちが、以降の人生を切り開いていってくれるのだろう。

「社会との関わりを理解することからはじまる」

このプログラムにおいて学生にとって重要なことは、知識をつけることではなくて様々な物事に対して興味を持つことである。興味を持つためには、ある物事に対して自分とどう関わっているかを考え、その接点を見つける。一見すると全く自身と関わりがないように思える物事でも、深く見ていくことで関わりが見えてくるものである。その接点が驚きとなり、発見となって、興味を持つことに繋がっていくはずなのだ。様々なことに興味を持ち、社会との関わりを理解することは、自分で判断をして自分で決めて行動していくことのきっかけになるだろう。

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次代の若手経営者 生き残りのヒントを聞く
2003年10月06日 中部経済新聞

今回紹介するのは、就職活動控えた学生を対象としたセミナーやガイダンスを行っている、クリスタルクリエイト(名古屋市千種区猫洞通5ノ21ノ2ライフピア本山三階、電話052・861・9426)代表取締役のハラデレック裕子さん。「人が持つ生きる力の大きさに気がついて欲しい」と語るハラデレックさんに、事業へのこだわりやセミナーの内容など聞いた。

就職への意識改善

「四、五年前、就職ガイダンスといえばマナー講座といった、就職活動のための技術や知識を身につけることが中心で、意識の方は本人の努力次第でした。厳しいからこそ自分で頑張るしかないといった傾向があったからです。しかし、最近は社会全体の停滞感に加えて、就職しなくても生きていくだけなら何とかできる。選択肢が多様化し、卒業しても無理に就職しなくてもいい、と考える学生が増えているのです」
現在の日本に蔓延するネガティブなイメージ。働いても豊かな暮らしが望めない、自分の将来に明るさを見出せない人が増え、フリーターが急増するなど、成人の未就職は大きな社会問題になっている。
「多くの学生から、幸せな社会人を見たことがない、という話を聞きます。そのため、講座ではもし、社会がネガティブに見えるのならば、自分たちが開拓者となってポジティブな社会を作り出していけばいい、と話しています。前向きな意識を持つことが、私たちの一番の目的なのです」
この事業を手掛ける以前、ハラデレックさんは英会話スクールの日本語学校に勤めていた。当初は、外国人学生に対する進路相談など行っていたが、その後、法人事業部に異動。企業に各種の研修を提案することが仕事だった。そのとき、大学を対象としたプログラムを作りたいと考えた。
「しかし、組織に身を置いている以上、赤字になる仕事はできません。やりたいと思っても思うように踏み込めない状態に苛立っていましたね」
そんな時、すでに起業していた知人からの「いざというときは私が何とかするから、思い切ってやってみるべき」という言葉と、「この事業をあなたがやるのであれば、任せてみたい」という学校関係者の後押しで、起業を決意した。
「私自身、大学時代は就職に関して悩みましたから、学生たちに共感する部分が大きいのです。それに私はこの仕事を任せてくれた人や背中を押してくれた人など、周囲の先輩方に育てられたという思いが強いですから。今度は、さらに若い学生たちの架け橋となりたいのです」

個々の力を信じる

セミナーでは、ハラデレックさんを含め、若くして起業した経営者らによる講演などが行われている。一見、華やかに見える成功者たちを具体例として紹介しながら、背後にある地道さや自分の力を磨くことの大切さを提示しているという。
「よく学生からは『その人だから成功したのでしょう、自分にはできない』と言われます。でも、そうではありません。彼らは存在ではないのです。私にしても、社長になりたいから始めたのではなく、前向きな社会を目指し、それを形にした結果としてあるだけなのです。『こうしたい』という思いに向かって尻込みせずに動くこと。自分にしかできないことが絶対にある、と皆さんに気付いて欲しいですね」
現在は大学を中心に、専門学校や高校などハラデレックさんが講座を手掛ける学校は増えてきている。なかでも、起業当初から携わり五年目を迎える中部大学では、就職活動を終えた四年生がその体験談を後輩に伝える「キャリアメッセンジャー」という学生主体の組織と共に活動を行っているという。目指している前向きの姿勢は着実に根付いているのだ。
「言い方は悪いですが私たちの苦労を踏み台にして、より高い考え方を持って社会に出て欲しいのです。そして前向きな姿勢を広げることで、ひいては社会全体を変えていけたら、そんな願いを込めてこの事業を続けていきます」
「一方通行ではなく、学生たちと一緒に活動しています」とハラデレックさん

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一人ひとりが生まれ持った素晴らしさを認めてほしい
2005年 中部大学後援会会報 信頼 51号

キャリアカウンセラーは、就職活動に入る手前で、自分の気持ちや、やりたいことがわからないと、前に踏み出せない学生の相談を生めることを主にしています。学生の大半は、将来具体的に何かになりたいと、はっきりした目的意識を持って大学へ入学してきたわけではありません。今の足場もしっかりしていないのに、将来のことなどわからないというのは当然かもしれません。私たちは、学生の現状を鏡で映し出すように認識させて、今自分はどこに立っているのか、どうしたら歩み出せるのかを一緒に考えて、納得のいく就職をめざしています。

世間では、こういう人が成功者だと、幸せ不幸せの枠を決めてしまいがちです。でも、人は誰とも比較できない生まれ持った素晴らしさを携えていて、一人ひとりの幸せのカタチが違います。それを一番わかってあげられるのはご父母です。ご子息・ご息女が就職活動で悩んだときは、愛情をかけて「あなたはあなたのままでいいんだよ」と安心させてあげてください。それが、次の一歩を歩み出す勇気につながるのです。

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知事と語る集い
2003年8月15日 愛知県知多総合庁舎

参加者発言要旨
<提言項目3:教育の新生と男女協同参画社会づくり>

6 私は現在、大学生の就職指導というところで教育コンサルタントをしています。この仕事を始めた当初は、大学3年時の就職活動支援、ですから、面接の指導ですとか、履歴書をどう書いたらいいのかとか、そういうような指導をしてきました。自分自身が社会に入ってガツンとやられた経験をもとに、学生さんと同じ立場に立っていろいろな職業指導、支援みたいなことをしてきました。5年ほど前というのは、出口関係のノウハウやスキルを教えてあげただけ、例えば敬語の指導とか、そういったことをしただけで、十分に就職活動ができるような力を持っていたのですけれども、最近は、企業の採用基準も年々厳しくなりまして、また、学生の職業に対する意識も低下してきて、大変なミスマッチを起こし始めています。なので、出口だけの就職課だけの支援では十分ではなくなりましたので、大学入学時からの、低学年時からのキャリア教育というものを提案し実践してきました。
 このプログラムの内容は自分自身を大切にするということはどういうことなのか、教えてもらえるのではなくて考える。それで、自分自身が大切なように、ほかの人も自分のことを大切に思って生きている。そして、みんなが社会で集まってかかわって生きているんだというようなことを、大学生の1、2年生の間にディスカッションなんかを多く取り入れて、みんなに考えてもらうというような授業をつくって、大学内に正規の授業の中に今後取り入れこまれていく方向性で、今、お仕事をいただいています。それで、スタート時感じたことは、キャリアガイダンスを担当していますが、学生さんたちの自分自身の自信のなさ、セルフエスティームの低さ、そして、友達同士でも本音が言えない希薄な人間関係、そして、社会性の乏しさです。ですけれども、回を重ねていくごとに、人とコミュニケーションをとるということは、こんなに自分が豊かになっていくことなんだというようなことにどんどん気づかされていくようで、学生の目の輝きが少しずつ変わっていくのがわかりました。
 私が学生さんに伝えたいことは、社会は自分たちの力で変えていけるということ。そのためには自分自身を大切にして、同じように周りも大切にし、安全で暮らしやすい社会を望み描くこと、そして、自分が何から始めようかと考えていくことが大切ではないかということを、教わるのではなく、本当に実感していただくということを大切に、ここ数年活動を続けてきています。
 私、大学の就職支援のところで、いろいろ持っている課題ですとか、そういったことを高校の先生方や中学校の先生方、またはPTAのお母さん方とか、そういった方に今の現状や問題や課題点などをお伝えして、そして一緒に考えていくネットワークを作りたいと思っています。高校でも総合学習などが豊富にされているとは思いますが、こういった縦のつながりの中でいろいろ課題を持っていただきたいなというふうに思っています。

知事発言要旨
-6番~8番の発言者の発言後に、知事が次のとおり発言-

 先ほどご紹介いただいたのは大学におけるキャリア教育ということで、就職意識だとか、就職のお世話も含めてやっておられるということでした。われわれが今力を入れているのは、高卒で就職される方もまだたくさんいらっしゃるんですが、そういう方に就職意識をどう持っていただいたらいいのか、先ほどお話がありましたとおり、ミスマッチがいろいろありますでしょう。そういうものを、高校生のうちに、自分の性格や生き方について職業との関係で学んでいただこうということで、今、インターンシップということで、かなりの学校で実際工場や企業へ行ってもらって、そこで先輩たち、大人たちが働いている姿を見てもらったり、そこでいろいろとコミュニケーションを図って、いろいろなことを学んでもらおうということをやっていまして、これはものすごく効果がございます。17、18歳の方がこれから社会へ出る上で、就職に対する不安だとか、新しい職場に対するさまざまな思いがあるでしょうけども、それを高校生のうちに経験、体験してもらおうと。このインターンシップに今一生懸命取り組んでおりますし、これからももっと拡大充実していきたいと思っています。
 今、われわれがそういう取り組みをしていることと、先ほどご説明いただいたことと共通する問題だろうと思います。当然、大学でも、ただ教養科目だ、専門科目だと教えるだけではなくて、社会へ出た後のいろんな問題を、学生の中で学んだり経験したりするということは必要なことです。大学でもどんどん広がってほしいと思いますし、われわれは高校レベルで今一生懸命やっています。特に、大学へ進学するよりも、就職を目指しておられる専門学校とか、特に就職希望の方々を中心にそんなことを今一生懸命取り組んでいるところであります。
 今、ご提言いただいたようなことは、大学の関係者とも、私ども年に何回か懇談会をすることがございます。例えば、国立、公立、私立を問わず県内全部の学校の学長さんが集まる機会がありまして、学長さんと私どもや名古屋市長と年に1回ぐらいは懇談会をやったり、あるいはそれ以外でも学校関係者と会う機会がしばしばありますので、今日そんな話題があったことを、何かの機会に一度出してみたいと思いますが、引き続き、職業意識だとか社会人としての心構えみたいなものを大いにご指導いただければありがたいと思います。

参加者発言要旨
意見交換

2 また、教育の方に話が行くのですけれども、私、毎年、何千人という学生さんに会いますけれども、選挙に行きますかということで、社会性を調べるようなところで手を挙げてもらうと、ぱらぱらっとしか手が挙がらないんですね。500人ぐらいの会場で。私は今回の機会に神田知事にお伺いしたいのは、選挙の前には、こんな政策をしますというお話がテレビの放送では流れますけれども、神田知事は一人の人間として、どうして政治家を志されたのかということを、一度ご本人の口から聞きたいなという風に思います。もし、私にそれが感じるところがあったら、本当にすばらしかったということを学生の皆さんにも伝えたいなと思っています。

知事発言要旨

 お話のとおり、投票率がどんどん減っているんですね。若い方が特に投票所へ行っていただけないということをわれわれも大変心配しております。投票時間が何年か前に6時から8時までに延びました。それでかろうじて持ちこたえているところがありますが、それにしても毎回低くなっており、残念なことだと思います。
 それから、私に対するお尋ねですが、今から15年前までは弁護士をやっていました。まさか自分が政治や行政の道へ進むなどとは思ってもなかったんですけども、最初は市長選挙でした。前の市長さんが高齢でお亡くなりになったんです。何期かやっておられ、亡くなられたのは80歳過ぎていたでしょうか。今も同じような傾向がありますけど、長いこと続いていたり、ちょっと年を取っていますと、若返りが必要だとか、行政や政治にあんまり関係ないほうがいいじゃないかとかいうことで、どういうわけか白羽の矢が立ったのです。始めは躊躇していましたけど、多くの方に応援をしていただけるということで出ました。15年前で結構大変な選挙でした。大変な選挙というのは、市を二分するような激しい選挙でした。それで、3期・10年間市長をやっていまして、今度、知事選挙ということで、これも前の知事さんが4年半前にやめるということになりまして、皆さん方、ご記憶があるかわかりませんが、後継者といいますか、候補者、いろんな人の名前が上がったのです。ところが、なかなか決まらない中で、これも政党の方や、いろいろなグループの方から、尾張部の外れの方にちょっと若いのがいるぞということで声がかかりまして、ご縁があってこれも出ることになりました。
 そういう話でおわかりのとおり、自分から政治を志して、最初から選挙戦の準備をしたということは一度もないんです。それがいいか悪いかの問題ではなくて、私の政治というか、行政の歴史はそういうことでスタートしております。ただ、市長も知事も、どちらも大変やりがいのある仕事です。私は、十数年弁護士をやっておりまして、恐らく一生この仕事で行くだろうとかたく信じておりましたけれども、この世界へ入って全く後悔はありませんし、もし、いずれ行政をやめるときは、もう弁護士に戻らないのではないかなと、自分でそんなふうに今予感しております。
 弁護士と行政、あるいは政治とどこが違うかというと、どちらも法律が中心になっているんですけど、わかりやすく言うと、弁護士というのは、例えば不動産の争いでも、離婚でも、不法行為でも何でもですけど、刑事事件ももちろんですが、起きてしまった後どうするかということですね。事件が起きて、後、訴訟だとかいろいろ、起きた後の後始末的な面が多いです。ところが、行政というのは、道路をつくるのも、福祉を行うのも、こうあるべきだという先へ先へと手を打っていく仕事なんです。だから、やりがいがあるといえばやりがいがあります。ただ、もっとも今弁護士の世界も、予防法学といいまして、紛争が起きないためにどうしたらいいか。例えば法務相談だとか、契約書をつくることだとか、そういう点に仕事の重要点の重点が大分移っております。お医者さんもそうですよね。何か病気になって手術をしたりということではなくて、健康づくりの話が今日ありましたけれども、予防医学といって、病気のならないためのドクターの役割というのが大変重要な時代になってきました。しかし、いずれにしても、そのくらい行政とわれわれの前の仕事との差がありますけれども、政治や行政の方がはるかにやりがいがあるというのは、今申し上げたようなことであります。あまり質問に対する答えになってなかったかわかりませんが、お許しください。

備考

 投票率は、この10数年の間、長期低落の傾向を続けており、その理由として生活が豊かになったことなどに伴い、政治や選挙に対する関心が低くなってきたことなどが言われております。
 このような状況に対して、制度的な対策として、いわゆる投票環境向上のための公選法改正が平成9年に行なわれました。その中で投票時間につきましてもそれまでの午後6時から2時間延長され現行の午後8時までとなったところであります。
 これらの改正は、投票率の上昇にある程度の効果があったと考えられますが、平成13年参議院通常選挙や今年の知事選挙、県議会議員選挙および衆議院総選挙では投票率が前回数値に及ばなかったことから、投票率の長期低落傾向に歯止めがかかったとは言えない状況にあります。
 また、世代別の投票率では、20歳代が最も低く、70歳ぐらいまで年齢とともに高くなる傾向にあります。

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キャリア教育プログラムの普遍性と可変性
2007年10月28日 第29回日本キャリア教育学会研究発表 
多摩美術大学八王子キャンパス

氏名/ハラデレック裕子、加藤咲樹、戸上昭司
所属/クリスタルクリエイト株式会社

1.はじめに

 私たちの社会は、今、非常に大きな曲がり角に差し掛かってきているのではないでしょうか。近代社会の日本人は、学校を出ると勤めるのが当たり前という風潮に安住してきました。戦後50%であった勤め人の比率も、ピーク時には70%にまでなったと言われています。しかし、高度成長期には2%強で推移していた失業率は、今やおおよそ4%強。特に若年者の失業率が飛躍的に上昇し、フリーターやニートの議論は日常と化し、一向に改善の兆しを見せていないのが現実です。今の時代、もはやサラリーマンが安定しているという幻想は大企業ですら打ち砕かれ、今の若者は、組織にぶら下がる働き方に疑問を持つどころか、組織で働くことそのものに対して本能的にリスクを感じているかのようです。
 このような状況下において、どのようなキャリア教育が必要とされるのでしょう?弊社は1999年に設立して以来、キャリアカウンセリングやキャリアデザインという用語が大学等の就職支援の現場では必ずしも一般的ではなかった時期から、キャリア教育プログラムを模索し実践してきました。本発表では、弊社が取り組んできたキャリア教育プログラムの特長をお伝えすると共に、キャリア教育の現場から見えてきた成果と課題についてまとめたいと思います。

2.何のためのキャリア教育か

 社会全体が転換期にある現在、若者にとって年輩者の働き方や価値観が必ずしもモデルとして相応しいとは言えなくなってきています。そのような状況において、今の若者は何を拠り所に今後のキャリアを積んでいけば良いのでしょうか。
 キャリア教育と言えば、どうしても若者個人の内面を重視してしまいます。特に近年は就労意欲が低い(と言われている)若者に対して、モチベーションを上げ就職へと何とか意識を向かわせるのが精一杯、というのが現場の実情であったりもします。現に困っている若者が目の前にいるのですから、なおのこと「なんとか助けてあげたい」と思うのが心情です。そのような時、私たちは目先の問題だけに捉われてしまって短慮的な解決策に走ってしまうことを、何よりも恐れなければなりません。私たちはあくまでも、本人が自発的・能動的に動けるよう、言ってみれば私たちのような職が存在しなくても済むような成長を遂げていってもらうことが願いのはずです。これには時間もかかりますし、社会全体を見ようとする姿勢も必要になってきます。弊社ではキャリア教育プログラムを作成するにあたって、次のような価値観を共有しようと努めています。
多くの企業には理念があります。同時に、最近ではCSR(企業の社会的責任)という「企業といえども社会の一部として、自己の利益追求だけでなく、社会全体に対する責任を負わなければならない」という考え方が定着しつつあります。さらに言えば、利潤追求ではなく社会貢献の追求を"本業"として行う企業(ソーシャル・エンタープライズ=社会的企業)と呼ばれる企業も注目されるようになってきました。これらのことは大学とて同じことです。おそらく全ての大学には建学の精神があり理念があります。そしてもちろん、企業におけるCSRと同様、社会的責任に関する使命感は、企業よりもむしろ大学の方が当たり前に持っていることでしょう。(国際的には、企業や大学も含む全ての組織に対する社会的責任(SR)に関する国際規格ISO26000が、2009年施行へ向けて着々と進行しています。)そして社会全体としては、地球の有限性を知覚した人類は今、<持続可能な社会>へ向けて舵を切ろうとしています。
 このように、私たちが学生を送り出す企業等の組織にも、また、キャリア教育の現場としての大学にも、そしてもちろん弊社にも、それぞれに理念があり社会的責任があります。さらに言えば、私たち一人一人にも、人生理念があり、市民としての社会的責任があるのです。それらが全体として<持続可能な社会>へと向かっていこうとしているのです。キャリア教育プログラムは、このような多面的な理念と社会的責任の複合体の中から紡ぎ出されなければならない、と弊社では考えています。

3.キャリア教育プログラムの作成にあたって

 キャリア教育プログラムを作成するに当たって、現場となる大学へのヒアリングを弊社では何よりも重要視しています。ここでの合意が無ければ、どんなに素晴らしいキャリア教育プログラムを構築しても、その効果を最大限発揮することは不可能です。
社会全体の方向性を感じ取りつつ、とりわけ大学の理念とそこから導き出される「当大学としてどのような人材を輩出したいのか=輩出人材像」を確認し合うことは、キャリア教育プログラム作成に当たって特に重要になってきます。他にも、当該大学におけるキャリア支援体制の現状と今後の方向性の確認などを行います。よって弊社のキャリア教育プログラムは、大学が異なればプログラム内容も異なります。とはいえ骨子となる共通した考え方はあります。弊社では、キャリア教育プログラムの全体を通した基本的な精神は「社会性に基づく主体性を育む」ことにあります。さらに次の3つの視点でプログラムを組み立てています。
(1)自分と向き合う
 これは今までにも様々なキャリア論で語られていますので、詳しい説明を割愛しますが、弊社が特に目指しているのは、「一人一人のポテンシャルを最大限に引き出すにはどうすればよいか」ということです。
(2)他人と向き合う
 弊社の一つの特長は、一方的な講義だけでなく、学生相互が参加・体験するワークショップ形式を数多く取り入れていることが挙げられます。そのためのファシリテーション技術や場づくりの技術を磨くことを、設立当初から取り組んできました。ここで特に醸成したいのは「人を思いやる心をいかに育むか」ということです。
(3)社会と向き合う
 弊社のもう一つの特長は、多様な人材との外部ネットワークを持っていることで、多様な働き方ひいては生き方を実例で以って提示できることにあります。世の中には3万種類の仕事があると言われています。一生の間で経験できる仕事は、そのうちのほんの一握りに過ぎません。しかし、多様な働き方・生き方をしている人物をモデルにして多様な仕事が存在することを想像させることは可能です。企業経営者や若手起業家、一般社員はもとより、各種専門家、コンサルタント、行政職員、政治家、NPO職員、農家、主婦、そしてもちろん学生にとって一番身近な卒業生などと連携を組み、講演会やワークショップを通じて彼らと触れ合う機会を弊社では提供しています。

4.キャリア教育の現場から見えてきた課題

 設立以来8年間のうち、就職戦線が上向いてきた最近3年間を特に取り出して、課題の抽出を試みてみました。
なお、ここ3年間では、三大学においてのべ約6,200人の学生に就職支援関連の講座(ワークショップ)を行い、のべ約700回のキャリアカウンセリングを行ってきました。その間、約30人の講師・キャリアカウンセラーが関わっています。
 以下に、キャリア教育の現場から見えてきた課題を簡単に整理しておきます。
・キャリア教育者自身にも社会性のある理念が必要である:何のためのキャリア教育かをもっと突きつめて考えることが必要だということを自他共に感じています。特に、安易な大企業志向、安定化志向(安定なのは今だけかもしれないのに)には疑問を呈さざるを得ません。
・キャリア教育にはネットワーク機能が不足している:これだけ社会が複合化すると、もはや一大学だけ、一企業だけ、一キャリアカウンセラーだけでは、お互いの理念も社会的責任も果たすことが難しくなってきました。そのしわ寄せは、時代時代の社会的弱者に及んでしまいます。各組織が自立しながらも協働し合えるネットワークづくり(特に地域ごとの小規模多分野のネットワーク)が必要だと思われます。
・主体性を育む機会が限られている:先行きに不透明感のある時代、主体的に学べる力の重要性が問われるようになってきました。しかし、主体的に学ぶ力を養う機会は、今の学生にそう多くはないのが現実です。
本発表では、以上のことを中心に課題をまとめ、発表したいと思います。

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